アメリカからの圧力とロッキード事件の陰謀

2012.08.19

首相になった政治家というのは、なぜか首相になる前と後では言動が異なる場合が多い。私は常々、それは何故なのかと思ってきた。最近、その理由を答えてくれる本に出会うことが出来た。孫崎享氏の「戦後史の正体」という本である。

この本は今まで扱われることがなかった「アメリカからの圧力」をテーマに戦後史を読み解いた本である。米国の意向について論じることは、日本の言論界ではタブーとされているようだ。このタブーを打ち破った孫崎氏の話は信憑性があり納得できる内容であった。

孫崎氏によれば、米国からの圧力や裏工作は現実に存在するとのことであると述べている。豹変した首相はこの圧力に屈した結果なのであろう。逆に圧力に屈せず抵抗した政治家たちもいたのだが、検察とマスコミに追い詰められ失脚するというパターンも見られる。まだ失脚はしていないが、小沢一郎氏もこのパターンである。故中川昭一氏は「米国債をこれ以上、不必要に買いたくない」と言った後に不審の死をとげたと言われている。

さて、日本の政治家で、米国にってよって葬られた人は誰かというと必ず名前の挙がってくるのが田中角栄首相である。あのロッキード事件はアメリカによる陰謀だったかどうかについて、「陰謀論はどこまで真実か」という本と、この「戦後史の正体」の両方を比べながら考察してみよう。

検証 陰謀論はどこまで真実か

ロッキード事件はアメリカが仕組んだ田中角栄つぶしの謀略だった
真実度10%

アメリカ国立公文書館分館で2008年8月に秘密指定が解除された外交文書によると、ロッキード事件発覚当時の自民党幹事長だった中曽根康弘は、駐日アメリカ大使を通じて、日本国内でのロッキード事件の波紋が広がらないように揉み消し工作に協力して欲しいとアメリカ政府に申し入れていたという。田中をスケープゴートとすることで組織としての自民党を守る、というのは既定の方針だったようである。確かに、ロッキード事件にアメリカ政府関与の陰謀と呼べるものはあった。その意味でロッキード事件陰謀論にも10パーセント程度の真実はある。ただし、陰謀の主体はアメリカではなく、むしろ日本側だったわけである。

戦後史の正体

「米国はどのように関与したのか」「なぜ関与したか」となると、どうもはっきりしないのです。

こうして日本では「田中首相は石油で独自外交を展開したから米国にやられた」というのが定説になっています。私はこれには疑問を持っています。

なぜアメリカは田中角栄首相を政治的に葬りたかったのでしょうか
私は日中国交回復が米国を怒らせたのだと思っています。

意外なことにロッキード事件については孫崎氏も定説は信じず、憶測での解説となっている。ただ、田中角栄氏をはじめとして、橋本竜太郎氏、小沢一郎氏がいずれも中国に接近することで、失脚したことを考えるとなんらかの米国の策略があったとは想像できるのではないかと思う。